アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
スズランはこの仕事が、この空間が、この時間が何よりも大好きだ。溌剌と仕事をする姿は客の皆々の目には健気に映る。堅物である店のマスター、ユージーンにとっても目に入れても痛くない存在だ。
「───ねえスズランちゃん。この葡萄酒をもう一つお願いしたいのだけど良いかしら?」
声に振り向くと、先程と同じカウンターの隅でひらひらと手を振るエリィの姿。駆け寄ると同時に目に入って来たのは何枚も積み重なった食器に所狭しと並ぶ大量の酒瓶。もちろん中身は既に空だ。
「エリィさん!」
「このお店のお料理ったらどれも本っ当に美味しいわ! もちろんお酒も! 特に気に入ったのがこの葡萄酒」
「えっと。もしかしてこのお酒とお料理って全部エリィさんが一人で…?」
「え、そうだけどどうかしたの?」
積み重なっているスープ皿に一品料理の大皿数枚。酒類と一緒に出される小皿料理が多数に、煮込み料理の深皿、更に食後の甘味までと出揃っている。とても女性一人の腹に収まる量とは思えない。だが見たところ無理をしている訳でも無さそうだ。それ所かまだ追加しようとしているらしく、スズランは慌てて注文を取る。
「いえ、その…! 注文の追加で良いですか?」
「───ねえスズランちゃん。この葡萄酒をもう一つお願いしたいのだけど良いかしら?」
声に振り向くと、先程と同じカウンターの隅でひらひらと手を振るエリィの姿。駆け寄ると同時に目に入って来たのは何枚も積み重なった食器に所狭しと並ぶ大量の酒瓶。もちろん中身は既に空だ。
「エリィさん!」
「このお店のお料理ったらどれも本っ当に美味しいわ! もちろんお酒も! 特に気に入ったのがこの葡萄酒」
「えっと。もしかしてこのお酒とお料理って全部エリィさんが一人で…?」
「え、そうだけどどうかしたの?」
積み重なっているスープ皿に一品料理の大皿数枚。酒類と一緒に出される小皿料理が多数に、煮込み料理の深皿、更に食後の甘味までと出揃っている。とても女性一人の腹に収まる量とは思えない。だが見たところ無理をしている訳でも無さそうだ。それ所かまだ追加しようとしているらしく、スズランは慌てて注文を取る。
「いえ、その…! 注文の追加で良いですか?」