アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
そして危険な場所だと言う事実。
それでもこうして無事ライアに会えたのは本当に奇跡的な事の様に思えてスズランは身震いした。両手を肩に回して小刻みに揺れる身体を何とか抑えつける。
不意に浴室の扉が開き、出てくるなり驚いた顔のライアがと瞳が合った。
「スズラン…! なんで寝てないんだよ! それに湯冷めするだろ?」
「ライア…」
「どうした?」
「何だかよく分からないけど怖いの。わたし、黙ってお店出てきちゃったし、それに旧市街に来たのも初めてで…」
間が持たなくなり、目をそらす様に俯くとライアが肩に毛布を掛けてくれた。そしてそのままベッドの側にある椅子にゆっくりと腰を掛け、こちらに視線をよこす。
「スズランは何でそうまでして俺の所に来たの?」
静かで淡々とした口調。
どう考えても迷惑で軽率だった。それでも正直に想いを伝えたいスズランはやっとの事で本音を切り出した。
「っだって。わたし、ライアに嫌われたくなくて…」
嫌われたくない。
会いたい。
会って話しがしたい、想いを伝えたい。
単純にそれだけなのだ。
「どうして?」
「え…?」
「その嫌われたくないって、どういう意味?」
それでもこうして無事ライアに会えたのは本当に奇跡的な事の様に思えてスズランは身震いした。両手を肩に回して小刻みに揺れる身体を何とか抑えつける。
不意に浴室の扉が開き、出てくるなり驚いた顔のライアがと瞳が合った。
「スズラン…! なんで寝てないんだよ! それに湯冷めするだろ?」
「ライア…」
「どうした?」
「何だかよく分からないけど怖いの。わたし、黙ってお店出てきちゃったし、それに旧市街に来たのも初めてで…」
間が持たなくなり、目をそらす様に俯くとライアが肩に毛布を掛けてくれた。そしてそのままベッドの側にある椅子にゆっくりと腰を掛け、こちらに視線をよこす。
「スズランは何でそうまでして俺の所に来たの?」
静かで淡々とした口調。
どう考えても迷惑で軽率だった。それでも正直に想いを伝えたいスズランはやっとの事で本音を切り出した。
「っだって。わたし、ライアに嫌われたくなくて…」
嫌われたくない。
会いたい。
会って話しがしたい、想いを伝えたい。
単純にそれだけなのだ。
「どうして?」
「え…?」
「その嫌われたくないって、どういう意味?」