アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「俺は平気なんだよ…!」

「わたしだって大丈夫だもん!」

 ここで引く訳にはいかない。

「なんだよ…。心配して言ってるのに」

「しんぱい、してくれるの?」

「…っ! お前に何かあったら、マスターやセィシェルの奴に何を言われるか分からないからな!」

 ライアの少し強い口調につい顔を伺った。何故かライアとセィシェルは仲が悪い。出来れば二人とも仲良くして欲しいのだが。そんな事を思いつつライアを見つめる。そこでスズランは小さく閃いた。

「そうなの? あ、だったらこのベッドとっても広いから、二人で一緒に眠ればいいと思うんだけど…」

「っ…は?! お、お前何言ってるか自分で分かってるのか? それこそ何かあったらどうするつもりだよ!」

「? 何かって、何…?」

「ああ、もう!!」

 自分が何を言ったか位分かっているつもりだが、ライアは頭を抱えて部屋をうろうろと歩き回った。スズランからすればライアの行動の方が意味不明そのものだ。
 以前、セィシェルにも似た様な事を言われ、その日から一緒に眠るのを断られたのを思い出す。何故、男の人はこれを拒むのだろうか?
 やはり嫌われているのでは…、と真剣に頭を悩ませるスズランだった。
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