アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「……あの今にも崩れそうな廃屋か…! ありがとう! ヴァレンシア!! 恩にきるよ」
「いいのよ。早く事件を解決させて貴方のその笑顔をまた見せに来て頂戴よ…?」
「…ああ」
礼を述べて笑顔を見せるライア。それを当然の如く受け入れるヴァレンシア。そんな二人を前に、胸の疼きが酷くなっていく。
何より、自分はこんなにも卑屈で嫉妬深い性格だったのかと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなスズランの胸の奥を見透かす様にヴァレンシアが続けた。
「その時はスズランちゃんと二人でいらっしゃい?」
(!!)
「わ、わたしもいいんですか!?」
驚いて声をあげると、ヴァレンシアは口角を上げて美しく微笑んだ。
「もちろんよ! あなたなら特別に占いを見てあげるわ。うふふ…」
そう言い残すと、ヴァレンシアは二人に背を見せて白藤色の霧の中へと消えていった。
「素敵な人……」
余裕があり成熟した女性の上品さに色気も持ち合わせ、更に機知に富んでいるヴァレンシア。少し言葉を交わしただけだが彼女の放つ不思議な雰囲気にすっかりと魅入られてしまった。
美しい海の色をした碧の瞳に波うつ青い髪がとても印象的で、その姿は鮮やかにスズランの心に残った。
「いいのよ。早く事件を解決させて貴方のその笑顔をまた見せに来て頂戴よ…?」
「…ああ」
礼を述べて笑顔を見せるライア。それを当然の如く受け入れるヴァレンシア。そんな二人を前に、胸の疼きが酷くなっていく。
何より、自分はこんなにも卑屈で嫉妬深い性格だったのかと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなスズランの胸の奥を見透かす様にヴァレンシアが続けた。
「その時はスズランちゃんと二人でいらっしゃい?」
(!!)
「わ、わたしもいいんですか!?」
驚いて声をあげると、ヴァレンシアは口角を上げて美しく微笑んだ。
「もちろんよ! あなたなら特別に占いを見てあげるわ。うふふ…」
そう言い残すと、ヴァレンシアは二人に背を見せて白藤色の霧の中へと消えていった。
「素敵な人……」
余裕があり成熟した女性の上品さに色気も持ち合わせ、更に機知に富んでいるヴァレンシア。少し言葉を交わしただけだが彼女の放つ不思議な雰囲気にすっかりと魅入られてしまった。
美しい海の色をした碧の瞳に波うつ青い髪がとても印象的で、その姿は鮮やかにスズランの心に残った。