アーサ王子の君影草② ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
だからと言ってその行いを抑制させる事などスズランには出来なかった。散々迷惑をかけた手前、もうこれ以上心配をかけない様にしっかりしなくては。
「今日もがんばらなくちゃ…」
また長い一日が始まる。
そろそろセィシェルが戻る筈だ。
せめて朝食は一緒に取ろうと、作り置きしてあった雑炊を二人分取り分けた。所が、暫し待てどもなかなか戻ってこないセィシェル。
「何かあったのかな…?」
外に出るな、と言われたが胸騒ぎがして様子を見に裏口に回る。しかし裏口の扉を開いた瞬間、何かが張り詰めた。肌に伝わる早朝の空気の冷たさに背筋がぞくりとした。
全身に霧の粒が纒わり付く。何か嫌な予感がする。
そんな中、怒鳴る様な声が耳に届く。
「……断わる!! 朝っぱらから迷惑だ! これ以上営業妨害するってなら警備隊呼ぶぞ…!!」
「セィシェル!? どうしたの? 何か…」
「スズ…? 駄目だ、来るなっ!!」
濃い霧をかき分け酒場の表に回り込むと、入口の扉を守る様にして立つセィシェルを中年の男達が数人で取り囲んでいる様に見えた。
「えっ?」
思わず駆け寄るも、見るからに不品行で柄の悪い連中にスズランの足が竦む。
「今日もがんばらなくちゃ…」
また長い一日が始まる。
そろそろセィシェルが戻る筈だ。
せめて朝食は一緒に取ろうと、作り置きしてあった雑炊を二人分取り分けた。所が、暫し待てどもなかなか戻ってこないセィシェル。
「何かあったのかな…?」
外に出るな、と言われたが胸騒ぎがして様子を見に裏口に回る。しかし裏口の扉を開いた瞬間、何かが張り詰めた。肌に伝わる早朝の空気の冷たさに背筋がぞくりとした。
全身に霧の粒が纒わり付く。何か嫌な予感がする。
そんな中、怒鳴る様な声が耳に届く。
「……断わる!! 朝っぱらから迷惑だ! これ以上営業妨害するってなら警備隊呼ぶぞ…!!」
「セィシェル!? どうしたの? 何か…」
「スズ…? 駄目だ、来るなっ!!」
濃い霧をかき分け酒場の表に回り込むと、入口の扉を守る様にして立つセィシェルを中年の男達が数人で取り囲んでいる様に見えた。
「えっ?」
思わず駆け寄るも、見るからに不品行で柄の悪い連中にスズランの足が竦む。