アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
だが、まさかそんな日に直接襲撃されるなんて誰もが予想していなかった。
「て事は、あいつが今居る場所も分かってるのか?」
スズランの気持ちを代弁する様な質問をセィシェルが投げかけた。ジュリアンは片手に持っていたカップを一気に煽り、中身を飲み干すと落ち着いた声で返事をした。
「もちろん。大体の目星は着いてるよ」
「じゃ、じゃあ…」
「今すぐ動きたいのは山々だけども、慎重かつ様子を見て行動したいんだ。時機は明日の早朝、夜明け前にこちらから打って出る! マスター、申し訳ないけどそれまでこの場をお借りします」
「もちろんです…! 何か必要な物があれば何なりとお申し付けください」
「では…、とりあえず。この美味しい珈琲をもう一杯お願いします!」
そう言いながらジュリアンはにこりと明朗な笑顔を見せた。緊迫した場を和ませる彼の気遣いに張り詰めていた心が少しだけ緩む。その後もジュリアンは警備隊員たちと綿密に話し合いを進めていった。そろそろ酒場の開店時刻に差し掛かる頃だが、もちろん本日は急遽休店となった。
再びカウンターの隅の席で何も出来ずに店内を眺めているスズランとその傍らに立つセィシェル。
「て事は、あいつが今居る場所も分かってるのか?」
スズランの気持ちを代弁する様な質問をセィシェルが投げかけた。ジュリアンは片手に持っていたカップを一気に煽り、中身を飲み干すと落ち着いた声で返事をした。
「もちろん。大体の目星は着いてるよ」
「じゃ、じゃあ…」
「今すぐ動きたいのは山々だけども、慎重かつ様子を見て行動したいんだ。時機は明日の早朝、夜明け前にこちらから打って出る! マスター、申し訳ないけどそれまでこの場をお借りします」
「もちろんです…! 何か必要な物があれば何なりとお申し付けください」
「では…、とりあえず。この美味しい珈琲をもう一杯お願いします!」
そう言いながらジュリアンはにこりと明朗な笑顔を見せた。緊迫した場を和ませる彼の気遣いに張り詰めていた心が少しだけ緩む。その後もジュリアンは警備隊員たちと綿密に話し合いを進めていった。そろそろ酒場の開店時刻に差し掛かる頃だが、もちろん本日は急遽休店となった。
再びカウンターの隅の席で何も出来ずに店内を眺めているスズランとその傍らに立つセィシェル。