アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「ライアの、お母様も?」
「そう」
中庭のこの大樹の下がお気に入りだった母、エテジアーナ。その可憐な姿はまだ鮮明に思い出すことが出来た。そして隣で心配そうに寄り添う父、ライオネルの姿も。何も知らず幸せだったあの時間を。
「あ、あの……ライア。えっと、その……ひざ枕…」
「ん? ああ。俺の膝、居心地悪かった?」
「そうじゃなくって…! ライアおしごとで疲れてるのにっ…」
目が冴えてきたのか、申し訳なさそうにするスズランを更に膝の上で甘やかす。
こうしているだけで日々の仕事による疲れが吹き飛ぶ。この二人だけの時間がどれだけラインアーサを癒しているか。
「ああ。疲れてないって言うと嘘になるかな。でも今こうしてスズランに触れてるだけでかなり癒されるけど?」
「…っ! そ、そんなわけ…」
「あるよ。だったら、もっと癒してもらおうかな…」
少し甘えた声で見下ろすと、スズランは眩しそうに目を細めながらラインアーサの前髪に華奢な指を絡めた。時折こうやって髪に触れてくれるのが嬉しい。
煌めく虹色の宝石が瞼に隠される。そのまま甘美な唇に吸い寄せられてゆく。
「……ん…」
愛しさが溢れて止まらない。
「そう」
中庭のこの大樹の下がお気に入りだった母、エテジアーナ。その可憐な姿はまだ鮮明に思い出すことが出来た。そして隣で心配そうに寄り添う父、ライオネルの姿も。何も知らず幸せだったあの時間を。
「あ、あの……ライア。えっと、その……ひざ枕…」
「ん? ああ。俺の膝、居心地悪かった?」
「そうじゃなくって…! ライアおしごとで疲れてるのにっ…」
目が冴えてきたのか、申し訳なさそうにするスズランを更に膝の上で甘やかす。
こうしているだけで日々の仕事による疲れが吹き飛ぶ。この二人だけの時間がどれだけラインアーサを癒しているか。
「ああ。疲れてないって言うと嘘になるかな。でも今こうしてスズランに触れてるだけでかなり癒されるけど?」
「…っ! そ、そんなわけ…」
「あるよ。だったら、もっと癒してもらおうかな…」
少し甘えた声で見下ろすと、スズランは眩しそうに目を細めながらラインアーサの前髪に華奢な指を絡めた。時折こうやって髪に触れてくれるのが嬉しい。
煌めく虹色の宝石が瞼に隠される。そのまま甘美な唇に吸い寄せられてゆく。
「……ん…」
愛しさが溢れて止まらない。