つよい魔王とよわい勇者
月の出ない夜。
不気味な雰囲気が夜の街を覆っていた。
魔王の城にもその不気味な雰囲気が流れ込み、
アーシュはそっと目を覚ました。
その不気味な雰囲気の正体は、光だった。
闇のような光が街中を覆い隠し、そして
部屋にまで流れ込んでいる。
嫌な予感がして空に飛び立った。
上空で街の様子を眺めていたアーシュは
あり得ないものを目にする。
それは、手と足を鎖で繋がれ、
立ち尽くすレイアだった。
黒い光はレイアから出ていたのだ。
レイアはふとアーシュの方を見上げた。
「…逃げて…」
かすかにそう聞こえた。
アーシュはそっと後ろを振り返る。
空にはたくさんの飛行機が飛んでいた。
そして飛行機から何かがたくさん降ってくる。
少し遅れて耳をつんざくほどの銃声が聞こえた。