つよい魔王とよわい勇者



涙に濡れた空から、落ちた銃弾が
アーシュの体を貫いた。

しかしその傷はすぐに癒えてしまう。
彼は魔王だから。

何度も何度もアーシュの体を貫き、
傷を癒す力よりも銃弾が彼の体を貫く方が早くなってきた。


彼の体から力が抜けた。

重たい瞼を開けば、降り注ぐ銃弾が見えた。
そして、その上を飛ぶ飛行機と、
真っ暗な夜空。


あの飛行機には、か弱い人間どもが乗っている。


雷に怯えていた勇者でさえ、魔法使いだったのに。

……なんの力も持たない、人間が…



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