愛、ですか…?
「頑張ったんだな。市ノ瀬。」

と言って谷口翔はいつの間にか出ていた

私の涙を指ですくってくれた。

そして優しく抱きしめてくれた。

あぁ、谷口翔が好きだ。

心が痛いくらい。

…また、2番目なのかな。

谷口翔の1番にはやっぱり

なれないのかな。

今まで大好きな人の1番になれた試しがない。

そう思うと怖くてたまらなくなった。

「なんでまだ泣くんだよ。」

谷口翔が好きで、でも谷口翔の1番に

なれそうになくて怖くて泣いてる。

なんてこと私に言えるわけがなくて

黙り込んでひたすら泣き続ける私。

駄々こねた子どもみたいだ。

「市ノ瀬?
俺なら1番に市ノ瀬を愛せる自信あるよ」

「え?」

「俺は市ノ瀬が好きだよ
俺じゃ、市ノ瀬の1番になれない?」

「…怖い」

「何が?」

「谷口翔の1番になりたいけど
やっぱり谷口翔の2番目に
なっちゃうんじゃないかって怖い。」

そう言うと谷口翔は私の肩を

今までよりもずっと強く抱きしめてくれた。
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