星降る丘でキミを憶う
向かいに座って菓子パンを頬張りながら勝也がうんざりそうに溢す。
「帰りまでには止むだろう」
「だけどこんだけ降ったら今日は筋トレだよ」
「部活か?」
「そう。運動は好きだけど筋トレは嫌いなんだよなぁ」
「そんなこと言ってるからベンチにも入れないんじゃないか?」
「関係ねえよ。一年でいきなりメンバーとか無理だから」
「そんなものなのか?」
「そんなものなの。あーあ、俺の唯一の楽しみなのに」
ブツブツと言っている勝也を尻目に窓の方へと目をやるとシヅキが静かに空を見上げていた。
俺も真似をして窓から空を覗いてみる。
梅雨入りが少しずつ近づいている。
そんな感じの空だった。