星降る丘でキミを憶う

当たり前のように荷台にシヅキを乗せてバイト先までを自転車で走る。

一時間前まで降っていた雨のせいで地面にはいくつかの水溜りができていた。

いつもならあまり気にしないそれを、シヅキが後ろにいるから水が跳ねないように避けて進む。

「凪ちゃんっていい子だよね」

「そうだな」

「ちゃんと何買ってもらうか考えないとね」

「本当にないんだ。どうするかなぁ」

「春人は趣味とか好きなものってないの?」

「思いつかないな」

「そういうのって考えるものじゃないと思うけど」

シヅキが呆れながら言っているのが分かった。
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