星降る丘でキミを憶う
「袋はいらないわよ?」
「すいません。ご協力ありがとうございます」
「北本くん今日はお疲れ?」
「いえ。そんなことないです」
「あなた細いんだからしっかり食べるのよ」
「はい。ありがとうございます」
しっかりしないとな。
常連のおばさんに心配されるほどには俺は上の空だったらしい。
だけどおばさんに続けて何人かの会計を済ませてお客さんが途切れるとついまた隅へと視線を向けてしまう。
「ファイト!」
拳を作りながらエールを送ってくる。
小さく頷いてからレジの横に置いてある時計を確認すると時刻はまだ七時を過ぎたばかりで、上がるまでにはまだ三時間は残っていた。