星降る丘でキミを憶う
「どうした?」
「星みたいだね」
後ろから伸びてきた指の先を見ると暗い空間に点々と灯る街灯が連なっていた。
「そうかな?」
雲のせいでいつもより暗い道に灯る明かりはキラキラとしてはいたけど星と言うには明るすぎる気がする。
「綺麗だね」
「街灯が?」
「もう!せめて明かりとか光とか。他の言い方してよ」
「変わらないだろう」
「雰囲気が違うの」
ふわっと自転車が軽くなる。
「シヅキ?」
「びっくりした?」
「動いてるのに降りたら危ないだろう」
「痛くないから大丈夫」
「そういう問題じゃない」
「はい。気をつけます。春人も降りて。歩こうよ」