星降る丘でキミを憶う

「行くか」

「うん!」

玄関横にある自転車に鍵をさして、荷台にシヅキを乗せて、一度だけペダルを踏み込むと最初はゆっくりとだけど徐々にスピードを上げて自転車が坂道を下っていく。

「ちゃんと掴まってるか?」

「うん」

今日は休日のせいでいつもより人通りが少ないから、シヅキが掴まってるのを確認してからブレーキをかけずに一気に坂道を下った。

いつもより強く風が顔に当たる。

「春人!スピードだし過ぎじゃない?危ないよ」

「大丈夫。人通り少ないし気持ちいだろう」

「怖いよ」

「しっかり掴まってれば大丈夫」

「もう、仕方ないなー」
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