星降る丘でキミを憶う

広い道路にでるまでの間そうやって坂道を駆け下りた。

そこからは俺のと、シヅキの分だけ少し重くなったペダルを漕いで駅まで向かった。

駅前の駐輪場に自転車を止めて駅までの距離を並んで歩く。

改札を通ってまだ人の少ないプラットホームで電車が到着するのを二人で待った。

シヅキは久しぶりによく喋った。

学校が休みだから。

バイトがないから。

今日は俺とシヅキだけで一日過ごすから。

だから喋ってるのだと思った。

直接言葉は交わせないけど、シヅキの言葉にちゃんと応えることができるから、だから喋ってるのだと思った。

出会った頃、「大人しくしててくれ」なんて言うんじゃなかったと少し後悔した。
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