星降る丘でキミを憶う
ー次は明大前。明大前
アナウンスが流れると同時に電車のスピードが落とされていく。
他の乗客が降りる準備を始め気の早い人は電車が止まる前にドアの前へと移動してきた。
「乗り換えだね」
そう言ってドアの側から前へと移動する。
俺はそのすぐ後ろに立った。
人の体をすり抜けるのが嫌だと、幽霊だって思い知らされるからと君がそう言ってたから、シヅキを守るようにして立った。
構内に出るとそれなりに多くの人で溢れていて、見えてる俺でも向かってくる人を避けるのに神経を使った。
だから今度はシヅキがすり抜けないように前に出ようとした。
瞬間ー
シヅキの足元を子供がすり抜けた。
人が多いから、その子にシヅキが見えていないから。
そうじゃない。
“シヅキが避けなかった”