星降る丘でキミを憶う

ーいや、なんでもない

「そっか。あ、もしかして心配してくれた?」

ーああ

言えない。

幽霊だってなんだって俺はまだシヅキと一緒に居たい。

「ありがとう。大丈夫だよ。慣れちゃえばなんてことなかった。さすがにこの人混みじゃ全員を避けるのなんて無理だしね。私は幽霊だからそれを有効活用することにしたの。生きてたらこんなこと経験できなかったでしょ。便利だよ。これなら満員電車でもきっと快適だよ。押しつぶされることもないし息苦しくもならないし痴漢にもあわないし。声だって聞こえてるのは春人だけだからなんでも話せるしなんだったら大声で歌うことだってできる。これで空でも飛べたらなおのこといいのにね」
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