星降る丘でキミを憶う

手を洗ってリビングに行くと部屋が飾り付けられていて、テーブルには俺の好物がずらりと並んでいた。

「すごいな」

「海が飾り付けたんだよ。ご飯も手伝ったの」

「ありがとう」

「ほらほら、座って」

「うん」

奥の椅子に座って、父さんも母さんも、海も空もみんながいつもの席に座る。

何も変わらない。

いつもと同じ光景。

ちらりとソファーを見る。

そこにシヅキはもう居なくて、だけどそれがいままでの、数日前までの当たり前の光景だ。
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