星降る丘でキミを憶う

「春人すごい食べっぷりね。珍しいじゃない」

「俺の好物ばかりだし。今日はお腹、空いてるんだ」

「春兄、ハンバーグ美味しい?それ海が捏ねたんだよ」

「誰が捏ねたって味なんて変わるわけないじゃん」

「空に聞いてない!」

「海、美味しいよ。すごく美味しい。ありがとうな」

本当に美味しかった。

美味しくて、涙が溢れそうになるのを堪えるためにどんどん口へと運んだ。

俺が用意された料理に箸を伸ばすと海が自分の手伝ったことをアピールして、それに空が茶々を入れて、母さんは父さんに料理を取り分けて、父さんはあまり口を開くことはなく晩酌をしていて。

いつもと同じ、何も変わらない。

いつもと同じ光景。
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