星降る丘でキミを憶う

「俺だって外せない用事くらいあるよ」

「そっか」

そう言って凪はまたでへへと笑う。

あるよ。

俺にも優先するものの一つや二つ。

海と空が生まれてからはなかったけど、いまは俺にも優先させたいことがあるんだ。

学校へと続く狭い道で先輩に会って、挨拶をしてから二人と別れた。

指定の場所に自転車を止めて、下駄箱で勝也に会った。

今日は朝練がなかったらしい。

だから勝也と二人で教室に向かった。

午前の授業を受けた。

勝也と昼食を食べた。

暖かい日差しに重くなる瞼を閉じないように午後の授業を受けた。

午後の授業を終えるとそのままバイト先に向かった。

七時頃常連のお客さんが来て「月曜日から北本くんに会えるなんてラッキーだわ」と声をかけてもらった。
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