星降る丘でキミを憶う

九時にバイトを上がって、夜の街を自転車であの丘へと向かった。

今日は自転車に乗ったまま坂道を登った。

途中でいつものサラリーマンを追い越した。

丘の上には人影がなく、木の側に自転車を止めて乱れた息を整える。

それから空を見上げてシヅキを想った。

シヅキ、そこからは俺のことが見えているだろうか。

俺にはどの星がシヅキなのか分からないけど、でもきっと、この丘から見える処で君は輝いているんだろう。

なんでシヅキはこの場所にいたのだろう。

なんで俺にだけその姿が見えたのだろう。

いつかその答えを知ることがあるのだろうか。
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