星降る丘でキミを憶う

今日も空には星が少かった。


しばらく空を見上げてからもう一度自転車に乗って家へと向かった。

家の中からは今日も双子の声が聞こえてきた。

「ただいま」

玄関を開けると海が駆け寄ってくる。

「春兄!空がまた海の消しゴム使った!」

「普通の消しゴムなんだからいいだろ」

「あれはいい匂いの消しゴムなの!使わないやつなの!」

「でたよ、使わないやつ」

「いまは匂い付き消しゴムが流行ってるの!」

「空、人のもの勝手に使ったらだめだって言っただろう」

「だって机に出しっ放しだった」

「整理してたの!」
< 307 / 332 >

この作品をシェア

pagetop