星降る丘でキミを憶う

玄関を上がるとすぐ横に和室があってそこには仏壇が置かれていた。

「お茶淹れるわね。どうしましょう。とりあえずリビングに来てもらおうかしら?ごめんなさいね。いまー」

「あの、お線香あげさせてもらってもいいですか?」

「あらまあ、ご丁寧に。じゃあそのまま和室で待っててもらおうかしら」

「ありがとうございます」

シヅキのお母さんに頭を下げてから仏壇の前に座って線香に火をつける。

お盆に嗅いだことのあるのより甘い香りが燻る煙にのって静かに広がった。

シヅキにぴったりな香りだなと思う。

手を合わせて目を瞑る。

久しぶり、星月。

俺はあの丘で星月に出会えて良かった。

一緒にいて大変なこともあったけど、だけど楽しかった。

幸せだった。
< 318 / 332 >

この作品をシェア

pagetop