星降る丘でキミを憶う

そんなこともう分かってた。

だけど改めて手を重ねるとやっとシヅキに触れられたことに今更ながら涙が溢れた。

「やっとシヅキに触れられた」

ずっとずっとこうしたかった。

触れたかった。

「でもどうして。シヅキは事故にあったんだよな?」

「うん。引かれそうになってた猫を助けようとして」

「それで幽霊になったんだよな?」

「うん。でもね、私はあの時、死んでなかったんだって」

「どう言うこと?」

「事故にあって、頭を打って。ずっと、病院で眠ってたの。心臓は動いてたけど意識不明だったみたい」

「生きてるんだよな?」

「うん。生きてる」
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