星降る丘でキミを憶う

良かった。

言いたいことも聞きたいこともあるけど、君が生きていたならそれだけで。

「ごめんね。本当は退院してすぐに春人に会いに行きたかったんだけど」

色の薄い手が短くなった髪を搔き上げる。

「傷、もう少し傷が綺麗になってから会いに行こうと思って」

「どうして?」

「だって、可愛くないでしょ」

「そんな傷くらいで変わらないよ」

「変わるよ。少しでも可愛くして会いたいじゃん」

ばかだな。

そんな傷くらいで何も変わらないのに。
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