星降る丘でキミを憶う
「私に言ってるの?」
消え入るような声でその人はそう言った。
こいつは何を言っているんだ?
だってここには俺と君しかいない。
君に言ってるんじゃないなら一体誰に話しかけてると言うのだろう。
「他に誰もいないだろ」
その人はゆったりと周りに目を向ける。
「本当だ」
なんだか気の抜けた人だなと思った。
静かなこの場所にーきっとその人が来たときから他の人なんていなかったはずなのに、その人はいま気づいたみたいな言い方をした。
「ここで何してるの?」
もう一度聞いてみる。
自分に話しかけられてると気づいたその人は、今度はちゃんと答えてくれた。
「何してるんだろう?」
そんなの俺に分かるわけがない。
分からないから聞いたんだ。