星降る丘でキミを憶う
なるほど、幽霊に痛みの感覚はないのか。
「地面はすり抜けないんだな」
ポンポンと膝を叩きながらシヅキがムッとした顔をする。
「目の前で女の子が転んだのに心配してくれないんだ」
「しただろう。それに痛くないって言ったじゃないか」
「転んだのは痛くないけど、私はいまとても心が痛いよ」
「幽霊にも心があるのか?」
「……酷い人」
「なんだよ。さっきはいい人だって言ってたのに」
「さっきまではいい人だった。でもいまは酷い人」
「はっきりしないなぁ」
「女の子はそういうものなんだよ」
「複雑だな」
「複雑だよ」
「それで?俺は何をしたらいいんだ?」
「何をしたらいいんだろう?」
首を傾げながら真顔で俺に聞いてくる。