星降る丘でキミを憶う

「幽霊って寝るのかな?」

「俺が聞きたいよ」

「いまは眠くないよ?」

「そうか。でもずっとここにいる訳にもいかないだろ?」

「春人の家に連れてってよ」

「……なんで?」

聞かなくても分かる。

シヅキの顔が語っている。

「他に行くところないもん」

「いままではどこにいたんだ?」

でも流石にそれはー

「ずっとここにいたよ」

勘弁して欲しい。

「昨日はいなかった」

「ここに来たのは今日の夕方」

成仏できるまで協力するからー

「それまでは?」

「分からない。たぶんまだ生きてたんじゃないかな?」

夜空のように深い黒の瞳で俺を捉えながら、シヅキはこてんと首を傾げる。

ああ、取り憑かれるってこういうことを言うのかな……。
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