星降る丘でキミを憶う

今日は食べ物が原因か。

「ただいま」

「春人、おかえりなさい。お夕飯食べるでしょ?」

「食べる、お腹空いた」

背後で繰り広げられる喧嘩に俺も母さんもあえて干渉しない。

同じ時に一緒に生まれたその二人は、一卵性のくせに全く似ていない。

いや、一卵性だけあって顔は瓜二つだ。

髪型と、最近少しずつそれぞれが性別に合った成長をしている体つきで間違うことはないけれど、小さい頃は兄の俺ですらろくに見分けがつかないくらいに似ていた。

だけど似ているのは見た目だけで、同じ環境で同じように育てられた二人は、なのにどうして性格は全く似ていなかった。

馬の合わない二人に喧嘩は日常茶飯事だ。

大体は弟の空が悪いのだけどそれでも俺も母さんも海の味方はしない。

勝手にやらせて勝手に落ち着くのを目の端で見守るだけ。

それでもー
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