星降る丘でキミを憶う

シヅキが戻ってきたところでノートにペンを走らせる。


「ごめんね。なんか楽しくなっちゃって」

ー次やったら家に帰ってくれよな

「気をつけます」

ー大体なんで人には触れないのに物には触れるんだよ

「分からない。そういうもんなんだよ」

「北本。続きから読め」

「はい。……」

「ここからだよ」

隣を見るとシヅキは仕方ないなぁ、みたいな顔をしてページを指している。

読み終わって椅子に座るとすかさずシヅキが話しかけてきた。

「もおー、ちゃんと授業聞いてなきゃだめでしょ」

誰のせいだと思ってるんだ。

「ほら、もう次のページに進んでるよ」

寝不足もあり一限を終えただけで俺はどっと疲れた。