星降る丘でキミを憶う

「春人が連れてきてくれたから」

「ついてきた、だろう」

「連れてきてくれた」

「はあ。明日はバイトないし放課後付き合うから今日はさきに帰っててくれ」

まただ。

シヅキはまたこてんと首を傾げて深い黒の瞳で俺を捉える。

完全に取り憑かれたな。

そう思った。


学校からバイト先のスーパーまでいつもより重いペダルを俺は漕いでいる。

ついてくるなと言っても触れることもできないシヅキを追い払うなんて俺にはできなかった。

仕方なく自転車にまたがると当たり前のようにシヅキが後ろに乗る。
< 75 / 332 >

この作品をシェア

pagetop