星降る丘でキミを憶う
「あっぶないな」
「一緒に行こうよ」
「俺はこの坂道を自転車で登りきりたいんだ」
「なんで?」
「ずっとそうしてたから。だから手を離してくれ」
「やだ」
「なんでだよ」
「一人で歩くなんて怖いもん」
「シヅキは幽霊なんだから怖いものなんかないだろう」
「怖い。お化けがでたらどうするの?」
「シヅキだって変わらないだろう」
シヅキの顔がムッと膨れる。
「春人が自転車降りるまで離さないからね」
「小さい時からずっと降りないで登ってきたんだよ。離してくれ」
「やだ」
「シヅキ」
「やだ」
ああ、どうしてこんなことになったんだろう。あの時声なんかかけるんじゃなかった。