星降る丘でキミを憶う
「春人、怒ってる?」
「……」
「ごめんね。でも一人になりたくなかったの」
シヅキが昨日見せた悲しそうな顔を浮かべる。
「小さい時からずっと守ってきたんだ、降りたら負けだって。だから一度だって降りないで登ってきた」
「ごめんね。でもなんで?」
「理由はないよ。意地になってただけ」
「ごめんね」
「もういいよ。ほら、着いた」
もういいんだ。
俺のつまらない意地なんて守ったところで何にもならない。
それよりシヅキにあんな顔をさせてしまったことが気がかりだった。
出会ってからずっとーまだ一日だけど、明るく振舞っていたけどきっと不安なんだろう。
自分が何者なのか。どうしてこの世に残ってるのか。
なんで死んでしまったのか。
シヅキは何一つ分からないんだ。
それがどんなに不安なことなのか俺には分からない。