そのキスで、覚えさせて





曲は三曲あった。

ロックらしいアップテンポの曲に、魅せるバラードに、ミドルテンポの曲。

遥希に狂わされ、感動させられ、釘付けにされた。

そんな至福の時間は、あっという間に過ぎ去る。

泉は顔を押さえて泣いていて。

あたしも必死で涙を我慢して、下を向いた。






「三曲とも、あの有名な艶さんが作曲してくださいました。

僕にはこれが精一杯ですが、楽しんでライブ出来ました!」




きっと、遥希はいつものキラキラ笑顔でみんなを見ているんだろう。

そんな遥希なんて見ることが出来ずに、あたしはただただ曲の余韻に浸っていた。


< 132 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop