そのキスで、覚えさせて
ドキドキドキドキ……
心臓が止まりそう。
身体中が震える。
何のシーンか分からないが、遥希はあたしを選ぶのか。
それとも……別の人?
「僕のタイプの女性は、友達思いで、友達に振り回されても怒らなくて」
……え?
「その友達のために、来たくもない今日のライブに来てくれているような人。
例え、人数合わせのために、好きでもない人と一緒に呼ばれても」
なっ……何言ってるの!?
あたし以外、いや、あたしたち以外は知らない話だ。
だけど、泉はきょとんとしていて……
ぽかーんと遥希を見たあたしと、彼の視線がぶつかる。
「そんな人、好みですね。
……きっとそこの彼女、そんな人ですね」
奴は超裏がありそうなキラキラスマイルで、あたしを指差した。
「「えぇぇぇぇーッ!?」」
あたしと泉は、声をあげていた。