そのキスで、覚えさせて
そして、拒む権利も与えられず、
「それではお願いします!」
合図が送られる。
足が震える。
動かないのではないかと思うほど。
そんな足を一歩踏み出した。
きっと、花束を渡せば終わりのはず。
遥希は、さっきの決まり文句を言いたかっただけだ。
自分に必死に言い聞かせる。
遥希に近付くにつれ、身体が焼けるように熱くなる。
それは、スポットライトの熱だけのせいではない。
まるで戦場に赴く戦士のようにふらふらとステージへ上り……
遥希の顔なんて見ることが出来なくて、おもむろに花束を差し出す。
これで終わり。
これで終わり!!