そのキスで、覚えさせて
だけど……
「ありがとう」
遥希の優しい声が聞こえ、胸がきゅんと言ったと思ったら……
ぎゅっと抱きしめられた。
固く、きつく。
ファンたちから悲鳴が上がる。
その悲鳴にも負けないほど、あたしの心も悲鳴を上げていた。
大好きな遥希の身体、今日は少し汗ばんでいる。
筋肉がついていて、大きくて、優しくて。
抱きしめられただけで、息が苦しく頭がぼうっとなる。
あぁ、あたしの遥希だ。
あたしの大好きな遥希だ。
そんなことを思いながら……
あたしの意識は遠退いていった。