そのキスで、覚えさせて
「まさか、マジで倒れると思わなかったな」
あたしは目の前の遥希をぼーっと眺めていた。
「お前、まさに役者!すげぇよ」
わざとらしく言う遥希に、
「うるさいなぁ」
相変わらずぼーっとしながらあたしは言った。
そんなあたしは、遥希の控え室にいた。
倒れたあたしは、病院に搬送されるところだったらしい。
だが、偶然居合わせた医師は大丈夫だと言って……
遥希が引き取ってくれた。
事の顛末はそういうことだ。