そのキスで、覚えさせて








そんな中……

ゆっくり扉が開かれる。

鼓動が速くなり、身体が震える。

これで、泉とは終わりかもしれない。

あたしは泉にとって、裏切り者だから。

だけど、それでいいんだ。

偽りの友情より、遥希を取るんだから。




そう自分に言い聞かせる。




扉が完全に開かれた時、息を飲む声が聞こえた。




ゆっくり視線を移す。

扉の向こうに立っている泉は口を押さえて、その場にへなへなと座り込んだ。

そして、泉の彼氏と瀬川さんはぽかーんとあたしたちを見ている。






「泉……ごめん」




震える声で言葉を発する。




「あたし……




遥希と付き合っている。

そう言おうとした時、後ろからぎゅっと抱きしめられた。




駄目だ、身体が熱くてバラバラになりそう。

また倒れてしまいそう。

こんな時なのに、あたしは遥希に狂わされている。


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