そのキスで、覚えさせて
「遥希、お疲れ様」
笑顔で遥希に言い、隣に座る。
こうやって隣りにいるのはもう慣れたけど、やっぱり今日みたいな日は思ってしまう。
遥希は大スターで、たくさんの人が恋い焦がれているんだと。
そんな遥希があたしを選んでくれて、すごく嬉しい。
遥希はあたしに手を伸ばし、ぎゅっと抱きしめる。
その大好きな腕に包まれて、またまた今日の昼を思い出してしまった。
「遥希って、本当にかっこいいよね」
ぽろっと言ってしまう。
すると、
「だろ?」
得意げに言う遥希。
こんな自身過剰な遥希にイラついたりもするけど、やっぱり仕方がない。
だって、本当にかっこいいんだもん。
顔はもちろん、正義感が強いし優しいし……
それに……
「歌も本当に上手なんだね」
またまたぽろっと口に出すと、遥希は嫌そうな顔をする。
そして、
「恥ずかしいからやめろ」
と。
全然恥ずかしくないよ、本当に感動したんだから!