そのキスで、覚えさせて
次の日……
会社に行くのがすごく怖かった。
泉に何を言われるんだろう、泉はあたしから離れていくのだろうと思って。
だけど、仕方ない。
あたしが自分で選んだ道だから。
階段を上る足が震える。
いや、全身が震えていた。
オフィスの扉が近付き……
それを開けて……
「おはようございます」
いつものように挨拶をする。
そして、伏し目がちに自分の席に行こうとした。
その時だった。
「……美咲」
不意に呼ばれて飛び上がりそうになる。
心臓が止まるかと思った。
振り返ると、目を腫らした泉がいて。
その顔を見るだけで、罪悪感でいっぱいになる。