そのキスで、覚えさせて
遥希は顔を上げ、
「おぅ……」
あたしに言う。
いつも通りの綺麗な顔。
遥希の子供もイケメンになるのかな、なんて思ってしまった。
そんな遥希も何かを察しているかのようで、神妙な顔であたしを見る。
そして、遠慮がちに口を開いた。
「……どうしたんだ?」
そんな遥希に、本当のことを告げられない。
遥希に告げることによって、不安は現実となる。
きっと遥希は喜んでくれて……
破滅の道を一気に辿るのかもしれない。