そのキスで、覚えさせて
あたし、何を聞いているんだろう。
今はこんなこと、話している場合じゃないのに。
遥希も話しながら、あからさまに怪訝な顔をしている。
そして、おもむろに口を開いた。
「お前、何が不満なんだ」
「え?」
「俺、次は何をしたらいいんだ?」
あたしはぽかーんと遥希を見ていた。
遥希は難しい顔をして続ける。
「俺は出来る限りのことをして、お前に尽くしているつもりだ。
本当はもっと色々してやりたい。
だけど、マジで時間がねぇ」
遥希……何言ってるの?
「でも、みっともないと思うけど、マジで離せねぇんだ」
「遥希……」
あたしは愛しいその名前を呼び、大好きな遥希の隣に腰掛ける。
そんなあたしの身体に優しく手を伸ばす遥希。
その手が触れるだけで、焼け焦がれてしまいそう。