そのキスで、覚えさせて
あたしは目を輝かせていた。
碧を紹介!?
どれだけ贅沢なの、遥希は!
だって、碧だよ?
あたしが十年以上ずっと追ってきた碧だよ?
こんなあたしを見て、遥希は思いっきりため息をついて言う。
「お前には絶対会わせねぇ」
「なんで?」
「ファンはファンでいればいい」
遥希の言葉に、何も言い返せなかった。
何となく分かった。
あたしが遥希のキスシーンを嫌がるように、遥希はあたしが碧のことを話すのを嫌がる。
藤井さんですらあの状態だったあたしは、きっと碧を前にしたら理性が吹っ飛ぶ。
だから、本当に遥希の言う通り、ファンはファンでいればいいのかもしれない。