そのキスで、覚えさせて
そんな遥希にホッとした。
あのまま遥希が甘々のままだったら……
あたしは、藤井さんの前で遥希とイチャついていたかもしれない。
遥希は人前でも平気で甘々っぷりを発揮するし、あたしは遥希から逃げられないから。
だけど、冷静に考えると、遥希に流されちゃいけないと思う。
遥希は今、料理を教えてもらっているのであって、イチャついているのではない。
遥希のためにも、あたしはしっかりしなきゃ!
そう思っているうちに、室内に美味しそうな香りが立ち込め、料理が完成する。
今日の料理は……
「トマトとズッキーニの、バター香る炒飯」
藤井さんは得意げに言う。
こんなお洒落な炒飯、反則だ。
あたしと遥希は息を飲んで、その素敵炒飯を見つめていた。