そのキスで、覚えさせて
甘ったるい余韻に浸っていた。
遥希はあたしの髪を触り、あたしはその胸に頰を付けていた。
とくとくとまだ速い鼓動が聞こえる。
そんな幸せな時間だった。
部屋の中はいつの間にか真っ暗になっており、大きな窓からは東京の夜景が輝いている。
その、宝石箱のような輝きの中、遥希は身体を起こした。
「これから仕事?」
そう聞くと、頷く遥希。
本当は、遥希ともっと一緒にいたい。
だけど、遥希は忙しいなりに、あたしに時間を割いていてくれて。
これ以上わがままを言ってはいけないと悟る。