そのキスで、覚えさせて
碧に会うことはない、そう思っていたが……
急にその日はやってきた。
とある土曜日。
いつものように遥希が藤井さんに料理の指導を受けていた。
藤井さんは腕を組んでニヤニヤしながら、遥希の作る料理を見ている。
「エビとムール貝、紫タマネギを炒めたら、ブイヨンスープと赤ワイン」
遥希がブイヨンスープを加えようとすると、
「もう少し炒めて、焦げ目を付けたほうが綺麗だ」
藤井さんは言う。
そして、その通りにすると……
あたしの料理とは雲泥の差とも言える、おしゃれな素敵料理が出来上がる。