そのキスで、覚えさせて
「バク転とか諸々。
全部出来なくなった」
悩ましげに告げた遥希を、あたしは凝視していた。
どういうこと?
出来なくなるって、何?
まさか、そのサポーター……
「怪我したの?」
そう聞いたあたしに、遥希は複雑な顔をした。
「まぁ、多少の怪我はするな。付き物だから」
そうなんだ。
遥希はいとも簡単にやってのけるから、怪我なんてしないと思っていた。
そんな怪我のせいで出来なくなるなんて……
そう思ったあたしを、遥希は複雑そうな顔で見る。
そして、言いにくそうにあたしに告げる。
「この話をしたら、お前は俺に失望する」
「……え?」
「かっこいい俺様じゃなくて、情けねぇ俺様だから」