そのキスで、覚えさせて
陸さんは足を止め、あたしをじっと見た。
その瞳で見られると、やっぱり居心地が悪い。
一瞬が一時間にも思える。
品定めするかのようにあたしを見下ろし、そしてようやく口を開いた。
「憎い?
……どうしてそう思うんだ」
「だって……」
真実を聞くのが怖い。
だって、ここで散々罵倒されたら、あたしは立ち直れないかもしれないから。
だけど、現実から目を逸らしてはいけないと思った。
陸さんの言葉に、ずっと悩んできたんだ。
怖いけど、白黒はっきりさせないと。
「だって……
陸さん、あたしに別れろって言いました」